【正しい銘柄探し】第1回:正しい場所、正しい銘柄を~人生は公平ではない~
前章【経済的な堀】は利益を上げ続ける会社が持つ要素を、全8回にわたって紹介しました。
少し難しい概念ですが、十分理解すると皆様の株式投資の一助になれば幸いです。
さて、これからの【正しい銘柄探し】では
1,堀のある企業をどのように探すか?
2,堀をどのように評価するか?
以上の2つに重きをおいて解説していきます。
正しい場所で堀を探す
両親がスポーツ選手の子供は最初から運動できる確率が高いですが、
両親ともにスポーツに無縁の子供は運動(音痴とまでは言わなくても)そうではないように思います。
本稿でお伝えしたい事
株(会社)も同じです。
元々持っている資産・堀、いる業界によって、
同じ努力をしても利益をあげやすい、あげにくいが存在し、簡単に下図のように分類されます。

図1を見れば、正しい場所は一目瞭然。
なので私たちは利益を上げやすい業界で集中して探す必要があります。
業界別の特筆事項
・ソフトウェア業界>ハードウェア業界
ソフトウェア業界の方がハードウェア業界より堀を作りやすいです。
→複数のソフトウェアを組み合わせる事でサービスが提供され、これが乗り換えコストになるため。
一方で、ハードウェア業界は業界標準に合わせて製品が作られ、簡単に他社製品に置き換わってしまうため堀の形成が難しいです。
・メディア業界
依然として堀は大きい傾向にあります。
ネットの出現が大きく業界を揺るがしたものの、ワーナーやウォルトディズニーのような強いコンテンツを持つ企業は、一度作れば配信するだけ=固定費を分散できるので、大きな堀を持ちます。
さらに映像作品にはブランド力があります。
また放送網には売り上げ増のための追加コストはかかりません、さらにフジテレビのように広告が引き上がってもグループとしては黒字をたもっています。
・ヘルスケア、医療機器業界
一瞬、堀が少ないように見えますが、その会社にしかできない規模の優位性を持つ企業や、
細かい認可の積み重ねで成り立つ会社も存在します。
・金融業界
行政の認可や、乗り換えコスト、ネットワーク効果により並みの銀行でも
高いROCを誇る銀行が存在します。
・素材、部品の業界
例えば石炭、鉄鉱石、ボーキサイト等。これらは価格以外に差異がないコモディティ商品ですが、
経済市況によって価格が左右されるため、個別株を分析し財務状況などの健全性が確認できれば
大きな利益を生む可能性があります。
・部品製造、重工
ニッチトップ企業であったり、重工は大きな乗り換えコストの発生する防衛産業であったり、
ここもしっかりとチェックするべき業界です。
・エネルギー
コモディティ化しやすいですが、途中の輸送コストや、原価を低くできる特別な要因がある場合は
高い利益を上げ続けることができます。
まとめ
・残念ながら人生は公平ではないです。
同様に、その会社がいる業界にも利益を上げやすい業界と、上げにくい業界があります。
・法人向けサービスを提供する企業、BtoB企業は競争上の優位性を確保しやすい傾向にある。
・堀は絶対的なもの、相対的なものは堀ではない。
次回からは、2、堀をどのように評価するか?について解説していきます。
もしコメントをいただけます際は下記にお願いいたします。
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