【MBAバリュエーション】第3回:三菱HCキャピタル社〜企業価値を評価する〜

当ブログは皆様の投資判断に役立つような情報を体系的にお伝えすることを目的としています

【MBAバリュエーション】シリーズでは、プロローグから三菱HCキャピタル社(8593)を分析対象に各種指標などから割安性を判断しています。

前回の第2回では、三菱HCキャピタル社の財務指標と簡易株価計算を行いました。

今回の第3回では三菱HCキャピタル社の企業価値を評価します。

三菱HCキャピタル社の企業価値算定

用語の確認と、企業価値評価手順の概略

まず読者様と私の認識を合わせるため用語の確認を行います。

【用語の確認】
1, 株価時価総額=株価×発行済株式数
 計算式が示す通りです。株支持市場における会社の価値を示します。
2, 企業総価値=株式時価総額+ネット・デット
 株価時価総額にネット・デットを加えたものです。
3, ネット・デット=有利子負債-現金及び現金同等物
 ネット・デットとは、会社の有利子負債(借金)から現金及び同等物(現金、有価証券など)
 を差し引いたものです。
4, EBIT=営業利益
 そのままです。
5, EBITDA=営業利益+減価償却費
 EBITに減価償却費を加えたものです。会計上、減価償却費は費用として計上されますが、
 実際に企業からはキャッシュアウトしないので手元に残ります。その金額です。
6, EBITDA倍率=企業総価値/EBITDA
 企業をMA買収した際に、その投資が何年間で回収できるか示す指標です。値が小さいほど
 回収期間が短く、割安と言えます。

用語の確認の後は評価手順の概略です。

該社(今回なら三菱HCキャピタル社)の情報は、大体google検索をするか、お使いの証券会社の銘柄検索機能から確認することができます。

使いこなせていない方は頑張って慣れましょう。3時間ぐらいで慣れると思います。

【評価手順概略】
→主に4つのステップで求めます
1, 企業価値の算定
この段階では株価や発行済株式数から時価総額と、ネットデットを確認することで企業総価値を確認します。
2, 損益データの確認
売上高、EBIT、EBITDAについて前期、当期実績から来季予想を求めます。
3, 財務指標
売上高・営業利益、売上高営業利益率を求めます。
4, 諸々の倍率
PBR, PER, EBITDA倍率について最高値、最安値、直近値を対前年、当期見通し、来季予想を求めます。

・基本的にはGoogle検索をするか、証券会社のサービスで使える情報で埋めることができますが、一部の指標や値は自身で調べたり、考えたりする必要があります。
・これは該社理解を深めるのに必要なプロセスなので頑張りましょう。
(※不明点があればコメントを頂ければ回答も頑張ります!)

実際に企業価値を算定します

企業価値の算定

企業価値を算定します。下表に従ってGoogle検索や証券会社の情報を入力していきます。

企業価値最高値最安値直近値備考
株価1,054円1001.5円1,008円24年12月、25年5月8日時点
発行済株式数1,466,912,244
時価総額1,546,125百万円1,469,112百万円1,478,647百万円
有利子負債8,368,976百万円
現金同等物369,043百万円現預金、有価証券
ネット・デット7,999,933百万円
企業総価値9,546,058百万円9,469,045百万円9,478,580百万円
簿価純資産1,272,372百万円株主資本等変動計算書より

本項目の計算から企業総価値は9,469,045〜9,546,058百万円のレンジと求められました。

損益データを確認する

次は損益データを確認します。

損益データ前期実績当期実績
(24年3月末)
来季予想備考
売上高
(営業収益)
1,896,231百万円1,950,583百万円2,220,000百万円来季予想より
営業利益
(EBIT)
137,727百万円146,176百万円200,000百万円来季予想より
減価償却費350,106百万円349,317百万円386,724百万円5カ年平均率より予想
焼却前営業利益(EBITDA)487,833百万円495,493百万円586,724百万円5カ年平均率より予想
税引後当期純利益(NOPAT)116,241百万円123,842百万円138,000百万円来季予想より

このデータを用いて、後半の計算を進めます。また表を埋めることで大体の売上高、NOPATなどを体感します。(結構大事です)

財務指標の確認

続いて財務指標を確認します。

財務指標前期実績当期実績来季予想備考
売上高成長率7.4%2.9%1.14%証券会社の情報から
営業利益成長率21.6%5.4%1.37%
売上高営業利益率7.26%7.49%9,01%

諸倍率の確認

最後にPBR, PER, EBITDA倍率を確認します。最高値、最安値、直近値から対前年実績と冬季見通し、来季予想を算出し、倍率のレンジを確認していきます。

諸倍率期間最高値最安値直近値備考
PBR1.2151.1551.162
PER対前年実績13.312.612.7
当期見通し12.511.911.9
来季予想11.210.610.7
EBITDA倍率対前年実績19.619.419.4
当期見通し19.319.119.1
来季予想16.316.116.2

こちらの表ではPBR>1となり少々割高の様相です。

PERは10.6〜13.3のレンジ、EBITDA倍率は16.1〜19.6のレンジとわかりました。

またこの分析を行う場合、会社の将来の実績を予想して企業総価値>時価総額であれば割安であると判断しているので、PERとEBITDA倍率は来季予想x直近値は赤色で示したところを見るべきです。

よって、成長性を示すPERは10.7倍、EBITDA倍率は16.2倍に注目しましょう。

まとめ

今回は三菱HCキャピタル社の企業価値、損益データ、財務指標、諸々の倍率を確認しました。

内容としては、すぐに購入の判断に資するものではありませんでしたが次の章で比較する、オリックス、芙蓉総合リース、東京センチュリーと比較するときに必要な情報となります。

大切な情報は、

・企業総価値は9,469,045〜9,546,058百万円のレンジ
・PERは10.6〜13.3のレンジ、EBITDA倍率は16.1〜19.6のレンジ

以上の通り想定ができました。


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