【経済的な堀】第8回(まとめ):正しい堀、偽りの堀~購入判断の指針~

経済的な堀

第1~6回までは企業の強み、将来的な利益を確保するために企業が持つべき堀について。
第7回では偽の堀について解説しました。

今回は、その強みとなる堀、偽の堀をまとめた総集編になります。

【企業を守る経済的な堀】

無形資産

ブランド

【ブランドとは】
・顧客に高い金を払わせる
・顧客の行動に影響を与える
・継続的に買い続けさせる

特許

【特許とは】
・複数の特許を保持している
・特許の新陳代謝を続ける(研究開発し続けている)

行政の認可

【行政の認可とは】
・土地の利用、占有などを認められている
・業務に自治体の認可が必要である(廃棄物処理、砂利採取などNIMBY業界)
・複数の自治体間の認可を保持する

乗り換えコスト

顧客の事業に密接にかかわる

【顧客の事業に密接関わるとは】
・通常業務に組み込まれている(経理、契約業務など)
・乗り換えた結果、仕事の振る舞い、結果が想像できない
・乗り換えた結果、事業展開が不安になる

金銭的な面、再訓練

【金銭的な面、再訓練とは】
・自社の再教育、協力先の再教育が必要となる
・また、それらを実施する際に金銭的な負担が発生する

ネットワーク効果

ユーザー数とサービス利便性が比例する

【比例するとは】
・複数の見えない誰かのみんなが使うことでサービスの利便性が向上する

情報や知識移転が基盤となる事業である

【情報、知識移転が基盤の事業とは】
・売り手と買い手が一堂に会する事業(証券取引業)
・情報を共有する/ユーザー同士を繋ぐ(会員制の懇談会など)

非競合財

【非競合材とは】
・誰かが使っているときも、自分も同じサービスを受けられる。

コストの優位性

【コストの優位性とは】
・安い製造工程 最新の生産設備で安く製造できる、保守費用が低い
・有利な場所 資源の採取地と生産地、また生産地と消費地が近い
・独自の資産 原料を自社所有地で採取できる、農作物が早く育つ 回転が早い

規模の優位性

固定費を使い倒せる

【固定費を使い倒せるとは】
・一度行った投資に追加せずに売上を増やすことができる

固定費を分散できる

【固定費を分散できるとは】
・大量の生産を行うことで、水道光熱費や家賃、減価償却費等を分散できる

ニッチトップ

【ニッチトップとは】
・小さい市場でも独占的な企業である。

【企業を守れない”偽”の経済的な堀】

技術的な優位性

技術的な優位性は競合他社にすぐに真似をされます。
またその優位性を使って稼いでいる会社は淘汰されるスピードが早い傾向です。

業界を揺るがす変化

業界の構造変化(商店街→郊外の大きなショッピングモールの出現)
代替できる選択肢の出現(安いカラープリンターのカートリッジ等)

悪しき成長

優位性がない分野への進出や、優位性がない事業に対する追加投資。
変な副業はせずに優位性がある分野に再投資を続けるべきです。

まとめ

長くなりましたが長期間にわたり利益をあげることができる企業がもつ強みをまとめました。

個別分析をするその対象の企業は、
「上記の経済的の堀のうち何が該当するのか?」
「その堀は広いか、狭いか、無いか?」
「偽の堀ではないか?」
常に考えながら事業の分析を続けていきましょう。

次回からは経済的な堀から派生し、実際の銘柄を選ぶための基準について解説していきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました!

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