【正しい銘柄探し】第3回:「ざっくり」企業価値算定~企業価値と株価の違い?~

正しい銘柄探し

前回の第2回では将来的に収益を上げ続ける会社が持っている、
PER, PCFR, ROAなどに代表される「株式指標」についてお伝えいたしました。

第3回からは「ざっくり」企業価値算定 をお送りしていきます。

今まではとは趣旨を変えて、
今の株価が高いのか安いのか、対象企業の貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)を用いて
ざっくりと計算する方法を解説します。

数字で判断、株価の割高・割安

今までは株式指標を使って企業の割高、割安を確かめました。

ここからは視点を変え一番気になる「今の株価が割高か、割安か」推測する方法をお伝えします。

企業価値算定の流れは
1,「事業価値」を見積もる 
2,「財産価値」を見積もる 
3,負債(借金)を引く 
4,1株あたりの想定価値を導くです。

今回はたまたま春闘関係の報道で見かけた三菱電機(東証P6503)を対象にしたいと思います。

指標の確認

今回は簡単にROA,ROE,PBR,PERなどネットで検索すれば、入手できる指標で見て行きます。

三菱電機株式会社(東証P6503)の2024年3月時点のデータで(丁度去年)
・ROA:4.6%
・ROE:7.6%
・PBR:1.4倍
・PER:16.7倍
・ROIC:6.3%
⚠️https://www.buffett-code.com/company/6503/financial/indicatorから引用しました。

前回の内容に照らし合わせると、ROICはそこそこの指標ですが、
その他は割安指標、成長指標ともに目安に近くないので、やや割高感があるように思われます。

企業概要

言わずもしれた超大手総合電機メーカー

重電システム、産業メカ(FA機器)、防衛エレクトロニクス機器、人工衛星、情報通信システム、
電子デバイス、家庭電器まで電機・電子機器を供給する三菱電機グループの中核企業。

◯インフラ(社会システム、電力システム、防衛・宇宙システム)
◯インダストリー・モビリティ(FAシステム、自動車機器)
◯ライフ(ビルシステム、空調・家電)
◯ビジネス・プラットフォーム(情報システム・サービス)
◯セミコンダクター・デバイス(電子デバイス)

の5事業構成。

重点成長領域はFA制御システム、ビルシステム、空調冷熱システム、電動化/ADAS、パワーデバイス。

国内トップクラスの製品は、FA機器・昇降機(エレベーター等)・タービン発電機・鉄道車両用電機品・パワー半導体・人工衛星等の産業用電気機器。

ニッチ分野の防衛関連はイージス艦搭載システムの保守・ミサイルの製造など
防衛エレクトロニクス実績(国内トップ)。

有名な会社ですよね。(※上記概要は会社四季報より引用)

1株あたりの適正価値を判断する

ここからは下記リンクの本を参考にしながら計算します。
これまでに何回もこの方法で適正価値を計算しており、参考にしていただけると思います。

なぜか日本人が知らなかった新しい株の本 amzn.to

進んでいきます。

全体のイメージ

画像
適正株価を計算するイメージの図 引用:なぜか日本人が知らなかった新しい株の本より

イメージとしては上図のように計算を進めて行きます。

また以下の数字は2023年度有価証券報告書より引用します。
(注:三菱電機のFYは4月翌3月となります。)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TOGW.pdf?sv=2020-08-04&st=2025-03-17T12%3A29%3A27Z&se=2034-06-26T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=oYMvH8qhDPjpPWb1VyngdeBuB%2BurhjcpuSTAWYeIqYw%3D

「事業価値」を見積もる

損益計算書より当連結会計年度の営業利益を確認します。

画像
三菱電機P/L

以上から分析対象会計年度の営業利益は328,525百万円とわかります。
(328,525,000,000円です。すごい。)

三菱電機の自己資本率は50.8%とシャープ、ソニー、日立、東芝などと比べると、
その他の企業と比して高めで経営の安定性は高いと考えられます。

よってここでは下記のように三菱電機の事業価値を計算しました。

【三菱電機の事業価値計算】

営業利益328,525,000,000円
 *0.6(日本の実効税率40%を考慮して)
 /0.06(=6% 投資家と銀行が三菱電機に期待していると思われる利回り

        ※ここは慣れたら調整が必要ですが一般的に自己資本比率が高い会社は
          6~9%の間で調整してください。
 =3,285,250,000,000円

と仮定します。(これを①とします)

「財産価値」を見積もる

続いて財産価値の計算です。

貸借対照表に移動します。

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流動資産の図
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投資その他資産合計の図
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流動負債合計の図

以上から

流動資産合計1,866,810百万円、投資その他資産合計946,469百万円、流動負債合計1,398,542百万円とわかりました。

計算に入ります。

【三菱電機の財産価値計算】

流動資産 1,866,810,000,000
 −(流動負債 1,398,542,000,000*1,2倍)
 +投資その他資産 946,469,000,000
 =1,135,028,600,000円 と仮定します。(これを②とします)

(小言:以前商社のP/L、B/Sを分析しましたが難しく断念しました。三菱電機は簡単でいいですね、、、。)

負債(借金)を引く

画像
固定負債の図

固定負債合計214,760百万円です。

先ほど計算した、①事業価値と②財産価値から引きましょう。

【三菱電機の事業価値】

(①事業価値3,285,350,000,000

 +②財産価値1,135,028,600,000)
  −固定負債合計214,760,000,000

=4,205,618,600,000円 (これを④とします。)

これが三菱電機株式会社の概算額となります。

1株あたりの想定価値を導く

さて上記で求めた概算額を発行済み株式数で割ると、、、

1株あたりの価値】

=概算額4,205,618,600,000円 (4兆2,056億1,860万円)
 /発行済株式数2,113,201,551株

=1,9円 (!)

結論:割高の判定(超)


現状、三菱電機の株価は¥2,582(2025/04/19時点)のため、かなり割高と示されました。
(※計算が間違っていたら教えてください😢)

財務状況としては、かなり優秀で流動資産が流動負債を上回っており、
自己資本比率も高い優良企業です。

しかしながら、株式指標が示すとおり割高、成長性もそこまで高くないということで、
財務諸表から考える判定では圧倒的に割高。購入判断は控える。という選択になると思います。

ただし

経済的な堀の章でご紹介した4つの経済的な掘り
1,無形資産
2,ネットワーク効果
3,乗り換えコスト
4,コストの優位性
以上のうち1つでも確認された場合は、購入を検討しても良いかもしれません。

◯まとめ

【まとめ】
・2025/04/19時点の三菱電機の株価はかなり割高
・財務状況は良好、自己資本比率も高く勤める企業としては◯
・株式指標は成長性は△、割安性も△


→購入判断は見送りとなります。

以上、今回はたまたまテレビで見かけた三菱電機の株価の割高割安を財務諸表から分析しました。

皆様、ご自身のお金はしっかりとした判断基準を自分なりにハラオチして納得して使いましょう!

機会があれば三菱電機の経済的な堀も分析したいと思います。

では🖐️

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